お気に入りビデオ004 愛奴恵・K 桐島恵(中川えり子) アートビデオ (1985)
こちらも〝Y〟と同じ世代の方なら涙が出るくらいに懐かしい。そう、シスターLとともにSMビデオの世界に金字塔を打ち立てた…という位置づけのビデオ。SMという特殊な世界を一般の世界に広めた立役者。
シネマジックに対抗するSMビデオの二大ブランドのもう1方、アートビデオ。その名作。ちなみにアートビデオは日本で初めてのSM専門ビデオメーカ-だと言われているよね。
「オレはシスターL派」「いや、オレは愛奴・K派だ…」なんて議論があちらこちらで起きた(?多分…想像だけど)くらいに拮抗する人気。それはそのまま、カラーの違いでシネマジック派とアートビデオ派の議論になっていたような趣があったように記憶しているよ。
ストーリーそのものはよくあるパターンで目新しさはないかもしれないんだけれど、このビデオは画期的な要素が幾つかあり、それがもの凄い人気を博したと思うんだ。
その一つがもちろん、革拘束。
それまでのSMビデオって、目鼻立ちの整った美しい女優さんは少なかった印象だよね。そこに突然、美貌の中川が登場したのだから、もう、それだけで大きなインパクトがあったと思うんだ。それにしても、なぜ中川さんはSMビデオへの出演にOKしたんだろう?しかもこの作品が彼女のAV初出演(それまでにっかつなど成人映画の出演歴はあり)。
その後マドンナメイト文庫で彼女の写真集が出たときに、その中の一枚、裸に直接エプロンを付けてキッチンに立つ写真があった。男が誰でも憧れるシチュエーションだよね。で、その笑顔はとても魅力的で、ああ、この娘は本当は明るくて人なつっこい娘なんだろうな…と勝手な想像をしたんだ。
おそらく映画が原点にあるシネマジックと違い、監督の峰一也氏が写真の世界から始め、そして、家庭用ビデオで動画に移ったという成り立ちも一つの要因なんだろうね(このあたりはSMスナイパーでの安田理央さんのインタビューに詳しいよ)。
そして責めは容赦ない。最初は黒田の体を舐めさせられ、そして、バイブなども。それから、ロウ責めと徐々に責めがエスカレート。目白アールのスネークベルトを思わせる黒革拘束具を付けられた上でのバイブ責め。黒田の「あさましい!あさましいい!」というセリフは黒田らしさ全開!
あくまでマニアが見たいと思う映像を見せる。そこがアートビデオの真骨頂。そこに、個性派の黒田透という役者が加わり、この類い希な世界が生み出されたんだろうね。当時、ライバルのシネマジックはアメリカンボンデージにちょっと似た明るさもあり、一方でアートは和風SMの暗さ、淫靡さがあった。そんなイメージがあったよね。
現在も未公開だったシーンも含めたリマスターのDVDが販売中。
一時代を画した名作。まだ見たことのない人は「シスターL」とともに、ぜひこちらの1本も!