主従関係において話しあうことの大切さ~〝ゆえ〟との関係の危機(下)
ふたたび、奴隷として
戻ってきてくれた〝ゆえ〟
前回の記事(こちら)、突然〝ゆえ〟から別れを宣言され、しかも、連絡がとれなくなったという話を書いた。
そう、2年半以上も主従関係を続けていたのに、お互いの電話番号も知らなかった!
もうこれはピンチ。
ただ、彼女の住所だけは知っていたから、訪ねていこうかなどと一瞬考えるが、「それってストーカーじゃね?」って思い、断念。
数日間、悶々とした。親しい友人であり、SMの師匠でもあるYKさんに愚痴を聞いてもらったりもした。YKさんには心から感謝だよ。
そして、ある日、一つだけ連絡できるかもしれないチャンネルがあったことを思い出したんだ。
そして、そこにメッセージを上げてみると…。
数日後、長いメールが届いた。見ず知らずのメールアドレス。でも、すぐわかった。〝ゆえ〟だ。そっか、前のメールアドレスは消去したから、別のアドレスを作ったんだ!
そのメールは強烈な言葉に満ちあふれていた。普段ご主人様には使った事の無いような乱暴な言葉遣い。おそらく、ご主人様に〝ゆえ〟のことを嫌いになってもらおうと、あるいは、諦めさせようと、あえて、〝ゆえ〟自身も普段絶対に使わないようなキツイ言葉をちりばめたのだろうと想像できた。そして、そんなメールを書くというのは、〝ゆえ〟自身も辛いだろうし、相当な決意を込めて書いているということがわかるものだった。
その言葉を一つ一つ、時間をかけて丹念に拾い上げ、そして、熟考し、数日過ごした。
その結果、もう一度だけ、話しあうチャンスをもらうこととして、再び、会った二人。
そこで、奴隷である〝ゆえ〟が心に抱えていた悩みの大きさ。そして、それに薄々気づいていながら、そこまで深刻にとらえていなかったご主人様の態度、さらに、〝ゆえ〟のSMに向かい合う気持ちと、それを受け止めるご主人様のタイミングの悪さ…。
そうしたことを洗いざらし話しあったよ。
その結果、主従関係を続けることになった。
でもね、これって、ここまでの状態になる前に、会っている時に話せれば回避できたかもしれない問題。
ただ、普段、奴隷はなかなかこうしたことを話しにくい。奴隷はご主人様に従うモノだという一般的な認識があるからね。また、日本では、女性は男性のパートナーに色々と言いにくいという「カルチャー」としての問題もある。
今回、強烈に思ったのは、そんな女性の気持ちを考えると、常に、男性Sの側が、女性Mの気持ちに耳を傾ける場を作ることが大切だということ。もちろん、単に「俺についてこい」じゃだめだよね。
Sは本当はなんでもわかってなきゃイケナイ…という気持ちからか、逆に、あえて奴隷に何も聞かないでいるというSもいる。それはまた一つのスタイルだから、良いと思う。実際、それでもちゃんと心が通うという凄い達人もいる。
でも、多くの人にとって、SはスーパーマンのSじゃない。だから、やっぱり、コミュニケーションが大切なんじゃないかな。そして、それが上手に聞き出せるSは、尊敬できるよね。
もちろん、プレイの最中にそういう話をするのは無理だと思うから、プレイが終わったあと、世間話をするとき、あるいは、プレイ抜きで会うとき。そんな、お互いに素直に何でも話せそうなときに話すことは大事だよね。
それぞれ別の人格を持ち、別の環境で育った他人。それが出会って、SMという共通目的に向かっていくのだから、気持ちや考えのズレはあるのが当たり前。そしてそれをお互いに調整していくこと。そのためにコミュニケーションは必要。その結果、二人が満足のいく主従関係を構築して、幸せになる!
日頃、頭ではわかっているし、自分で行動しているつもりだったけど、今回の事で、改めて、自分の中にそれが不足していたことを感じた、相変わらずの「へなちょこS」の〝Y〟だったよ。
そしてM女の皆さん、心に溜めていることがあれば、ぜひ勇気を出してご主人様に打ち明けてみて!
〝ゆえ〟との経験を通して、〝Y〟が得た教訓。皆さんへのアドバイスにと思って書いたよ。