〝ゆえ〟の小窓~44 お食事の話その後~1
ご主人様とは食卓を共にするのではなく
食卓になりたがる〝ゆえ〟
出会った当初から甘い物が「苦手」だと公言している〝ゆえ〟。
以前の「〝ゆえ〟の小窓~20」でも、お読みいただいた通り。
時折、ホントかなぁ……と疑うこともあったご主人様。
でも、〝ゆえ〟のその言葉。そこには深いワケがあったんだ。
今回の〝ゆえ〟の小窓はそんなお話を。
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この小窓記事は、読んだ方に不快な思いをさせてしまうかも知れません。
はじめに謝らせてください……ごめんなさい。
ご主人様には、ご調教時に時折……いいえ、ちょくちょく【〝ゆえ〟に甘いものを食べさせるのが楽しい】時期がやってきました。
長引くコロナ禍で業を煮やしたご主人様は、とうとう、スイーツブッフェをご自身で再現されてしまいました。
そこでご主人様は気付いてしまったのです。
〝ゆえ〟が甘いものをパクパク食べてしまうことに!!
「美味しいですぅ」
と、一見、笑顔で食べる姿に【こいつやっぱり、落語の饅頭こわいを地で行ってるな】と思われたに違いありません。
しかし、その甘さも『海外的』で『激甘』なものや、一度にたくさんの量を提供して頂くにつれて
【〝ゆえ〟が冷や汗浮かべて、苦笑いを作っていること】
【ご主人様が、わざわざゆえの為に買ってくださる行為、そして、品物を断れないこと】
【〝ゆえ〟は甘い食べ物を食べ過ぎると、体調を悪くしてしまうこと】
が段々と露呈し始めました。
でもね、甘いもの……食べると何故か美味しく感じる時もあります。
苦手なはずなのにどうしてなのでしょう??
苦手でも【美味しいですぅ】と言いながら食べることで、本当に美味しくなってしまうのかもしれません。
ご主人様からも
「なんだ、食べられるじゃないか。どうして〝ゆえ〟は甘いものを苦手と考えているのかな?何か理由があるのかもしれないよ」
と、問いかけられました。
だって上記に書きましたように、甘いものたくさん食べたら、お腹壊しちゃうんですよぅ……
あれ?
私、甘いものをたらふく食べて、お腹壊した事なんてあったのかしら??
よくよく振り返ってみたら、今まですっかり忘れていた、遠い遠い昔の記憶が蘇ってきました。
小学校にも上がらない位の小さい頃。
お誕生日にケーキをホールサイズで買ってもらったことがありました。
どうやらお誕生日にはケーキでお祝いするらしい事、しかもそのケーキは丸い形らしい事を知ってから、どうしても!とおねだりしたのです。
自分のお誕生日の日に、ケーキ屋さんに連れて行ってもらえて、キラキラしたショーケースの中からどれにするか選んで……。
小さな子だったらきっと、みんなワクワクしますよね。
ケーキの上のマジパンもとても可愛くて。
本当に嬉しくて、足早にお家に帰りました。
それからケーキを一人分ずつに切り分けて食べました。
でも、ホールで買いましたから余ってしまうのです。
マジパンで出来た動物さん達も残っています。
「ほら、アンタの為にわざわざ買ってあげたんだから、残りも全部食べな」
「ケーキなんて贅沢させて。わがままに育てると、何も良いことなんてない」
まわりの大人達から、もっと色々と言われたように記憶していますが、もしかしたら〝ゆえ〟の被害妄想かもしれません。
でも、口の中が生クリームとマジパンと胃液でいっぱいな感覚は、はっきり残っています。
思い出せないのですが多分、全部は食べられなかったはずです。
ケーキなんてそれまで食べたことが無い幼児が、残さず食べきるのは不可能に近いと思います。
蘇ってきたとき、すごく不快で、お腹が痛くなり、やるせない気持ちでいっぱいになりました。
ご主人様へお伝えすることも、ずいぶんと時間が必要でした。
今はご主人様と、少しずつ、この辛かった記憶を共有して頂きながら、上書きするということを、ご一緒にしてくださいます。
しかし、〝ゆえ〟の苦い記憶は、これだけでは終わらなくて……どうやらパンドラの箱が開いてしまったみたいです。
いったんおしまい
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最初は〝ゆえ〟の真意をわかってなかったご主人様。
でも、こうして長いつきあいの間に次第に深く理解していけるようになったよ。
子どもの頃の辛い体験というのは、こんな風に長期にわたって大きな影響を与えるんだよね。しかもその原因の記憶を自分で封じながら。
〝Y〟同様、きっと多くの人も「そうそう!」と同意して下さるんじゃないだろうか。特にM女さんは。