〝ゆえ〟の小窓~12 言葉の受け取り方の違い

ご主人様の言葉責めを受ける〝ゆえ〟
〝ゆえ〟と〝Y〟。赤の他人だった二人が出会って主従関係を結ぶ。育った環境も世代も違う二人。当然そこにはコミュニケーションで乗り越えるべき課題が沢山ある。そんな苦労の一つについて〝ゆえ〟が書いてくれたよ。
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SMには独特の表現が多いように思います。
普段の生活では到底お目にかかれないような表現が、褒め言葉として使われていますよね…きっと、ご主人様だけでは無いはず。
普通の生活なら「綺麗だね」「かわいい」「(君のこと)大好きだよ」と、ストレートな表現が好意には使われますよね。
時々「月が綺麗ですね」と表現する方もいらっしゃるようです。
〝ゆえ〟的には情緒たっぷりで、これも素敵だと思います。
でも、SM中では……
「こんなに涎を垂らして恥ずかしい奴隷だな」
「もうまんこがグショグショじゃないか…ドスケベな奴だな。毎回呆れるよ」
「自分で腰を振ってるの気付いてる?淫乱だなぁ」
はい。
今の全部、ご主人様は「大好きで可愛い奴隷」の意味で使われていらっしゃるそうです。
最初は言われる度に、(そうだよね…涎を垂らしている姿は恥ずかしい…)、(濡れやすい体質なのご存知なのに、何で毎回指摘してくるのかしら…恥ずかしい)、(そ、それは、、奴隷は腰を振ってご主人様に喜んで頂くのが嬉しいからであって、淫乱な訳では…訳では……恥ずかしい)と思っていました。
後から思えば、ご主人様はそんな〝ゆえ〟を理解した上で、遊んでいらっしゃったご様子でした。
しかし、〝ゆえ〟自身がこの言葉のすれ違いでかなり疲弊してしまいまして。
もう、無理…精神的に辛すぎる…となった時、初めて言葉についての解説がご主人様からありました。
最近はようやく慣れてきましたが…未だに慣れない表現が1つだけあります。
それは、「役に立たないじゃないか」です 。
「全く、役に立たない奴隷だな」は、ご主人様にとって渾身の決め台詞だそうです。
使われる場面は、快楽責めを受け続けて奴隷が無反応になった時です。
ご主人様はこの言葉を口にすることで、かなり多くの充足感が得られ、脳内では快楽ホルモンがドバドバ出ているそうです。
が、「役に立たない」を受け止めた〝ゆえ〟側は、最初、絶望感でいっぱいでした。
お役に立てないということは、、、もう〝ゆえ〟に飽きたのかな…。
不安がつのり、ご主人様に恐る恐るこの事をお伝えすると、ご主人様、驚愕されました。
それから、珍しくキレられてましたね。
「お前、SM小説とかSMのAVとか読んだり見たりしろよ!何でそんなに知識無いわけ?はあっ?何年俺のそばにいるんだよ。(ご主人様しばし沈黙)……ま、でもこういうのに疎くて、初心者だってことをわかった上で、奴隷にしたのは俺だからな…。いいか、何度も言うぞ。落ち込んだままにして後から言ったりするなよ?!疑問や不安はすぐにその場で伝えること!わかった?」
〝ゆえ〟はもう、涙目、鼻声です。
「ご、ご、ごめんなさい。本当に申し訳ありませんでした」
それ以来、時々このときの事を蒸し返されては、ご主人様は独りムカムカしていらっしゃるご様子ですが、面と向かって〝ゆえ〟に「役立たず!」とはお使いにはなられません。
実は、ご主人様にお気を使わせているという、何とも奴隷らしくない一面を持っている〝ゆえ〟でした。
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言葉の受け取り方の違いで、一時期は危機的な状況になったことも。でも、無事に乗り越えた二人。こうやって、少しずつ、少しずつ、同じ言葉と世界を共有できるようになってくるんだね。やっぱりコミュニケーションは本当に大切!
長い道のりだけど、〝ゆえ〟、これからもよろしく!